助産師さん直伝|母乳育児ガイド

〜ネットにはなかった“現場の話”〜

はじめに

母乳育児について調べると、ネットには本当にたくさんの情報があります。
けれど、実際に悩んでいるときに「今の自分に必要な答え」は、なかなか見つかりませんでした。

私たち夫婦が、乳腺炎をきっかけに通うことになった町の助産院。
そこで助産師さんから教わった母乳育児の考え方や具体的な工夫は、
「え、そんなの誰も教えてくれなかった…」
と思うことばかりでした。

これは医学的な正解集ではありません。
私たち夫婦が実際に経験し、助けられた話です。

同じように悩んでいるママ、プレママ、
そしてパートナーの方に、
「こういう考え方もあるんだ」と思ってもらえたら嬉しいです。


私たち夫婦について

私たちは、サービス重視派の産婦人科で出産しました。
産後の入院生活は、ホテルのような病室、腕によりをかけた料理・スイーツ、退院祝いのフレンチなど、とても快適。
その点では大満足でした。

一方で、授乳指導については、正直なところそこまで手厚い印象はありませんでした

産後3週間ほど経ったある日、
妻に発熱があり、胸には強いハリ。
診断は乳腺炎でした。

慌てて駆け込んだのが、町の助産院。
そこから約2ヶ月間、授乳指導とケアを受ける中で、
乳腺炎は完治し、母乳もしっかり出るようになりました。

その過程で学んだことを、
ぜひ次の世代に残したいと思っています。


町の助産院との出会い

この助産院を見つけたのは妻でした。
私は普段よく通っている道沿いにあったにもかかわらず、
正直、存在を知りませんでした。

ここでは授乳指導だけでなく、
ベビーマッサージなども行っており、
結果的に、産後だけで終わらない、末永いお付き合いになりました。


助産師さんから教えてもらったこと

混合栄養は一番大変(という考え方)

完全母乳・完全ミルク・混合栄養。
この3つの中で、助産師さんが「一番大変」と話していたのが混合栄養でした。

理由はとても現実的です。

  • 授乳は基本的に3時間おき
  • 睡眠時間を確保するには、授乳時間は30分以内が理想
  • ミルク作りには、洗浄・消毒・温度調整などの手間がかかる

母乳をあげてからミルクを用意し、
それを30分以内でこなすのは、想像以上に大変。

この事実には、正直かなり驚きました。

※これは「混合がダメ」という話ではなく、
負担の大きさを知った上で選択することが大事、という文脈です。


完全母乳は、思っていたより楽だった

助産師さんの話では、完全母乳にはこんなメリットがあるとのことでした。

  • 泣いたらすぐ吸わせられる
  • 温度管理や衛生管理をそこまで気にしなくていい
  • 寝ぼけながらでも対応できる
  • お出かけ時の荷物が増えない
  • 歯並びが良くなる傾向があるとも言われている

話を聞くうちに、
「今からでも挑戦してみようか」
と、私たち夫婦は思うようになりました。


完全母乳のための準備

助産師さんから教わった、少し意外だったポイントです。

  • 妊娠中から、ノーブラなどで乳頭を摩擦に慣らしておく
    • 授乳初期は本当に痛く、血が出ることもある
  • 出産後の入院中は、とにかく最初が勝負
    • 特に初産婦は、授乳訓練がとても大切
  • 生後3ヶ月頃までは、母乳育児へ移行できる可能性がある
    • それ以降は難易度が上がる

「そんな大事な話、もっと早く知りたかった…」
と正直思いました。


母乳マッサージについて

母乳マッサージは、
乳腺の詰まりを探し、そこから乳首に向かって圧をかけていく施術です。

  • 所要時間は約40分
  • 正直、マッサージという言葉から想像するものではない
  • 強い痛みがあり、間違ってもうとうとすることはない

処置室はカーテンで仕切られていますが、
希望すれば夫も立ち会いが可能でした。

私が自宅で行っても、
プロのように詰まりを開通させるのは難しい。
それでも、夫婦で同じ大変さを共有できたことには、大きな意味がありました。


桶谷式乳首との出会い

初診時に助産師さんから勧められたのが、「桶谷式乳首」
※商品名:桶谷式直接授乳訓練用 母乳相談室 乳首SSサイズ

一般的な哺乳瓶用乳首よりも硬く、赤ちゃんにとっては吸いにくい構造です。
その分、吸啜力が鍛えられ、
母乳育児への移行を助ける目的があります。

「そんなものがあるの?」
と半信半疑でしたが、その場で購入しました。価格は\1000ほど。
普段のミルク飲みでも吸う力をつけてもらうことに。

後になって調べてみるとこう書いてありました。
~乳頭乳房トラブルなどで、一時的に直接母乳をあげられない時に。
母乳哺乳に移行するトレーニングのための哺乳びん「母乳相談室」専用乳首。~
つまり、これは「ミルク→母乳」ではなく、「母乳→ミルク」の移行のために設計されたものでした。助産師さんの現場力というか応用力に驚きです。


桶谷式乳首をおっぱいにつける

桶谷式乳首は、乳首保護カバーのように、
おっぱいに被せて使うこともできます。

  • ミルクとおっぱいを同じ感覚で飲める
  • 乳頭混乱を起こしにくい

赤ちゃんの好みは本当に個人差があります。

我が家では、

  • 直飲みだと10分ほどで終わっていた授乳が
  • 桶谷式を使うと23分吸ってくれる

という変化がありました。

一度硬さに慣れると、
柔らかいものは嫌がることもあるようです。


勝負の14分間

一般的には「左右10分ずつ」と言われることも多いですが、
助産師さんの考え方は少し違っていました。

  • 片側7分ずつ、合計14分で十分
  • それ以上は、遊び飲みになることが多い

授乳後の流れはこうです。

  • パパがミルクを飲ませる
  • ママは左右7分ずつ搾乳
  • 搾乳器は手動を使用。自動型に比べると、自分のペース・強さで実施できます(しかも安価)。

人となりは4ヶ月頃から

助産師さんがよく言っていた言葉です。
~生まれてすぐは「反射」でおっぱいを吸ってくれる。生後4ヵ月頃から「意思」が出てきて、遊び飲みをするようになる。~
幸いにも我が子はおっぱいが大好きで、今も夢中で飲んでくれます。


私たちなりの工夫

データで歩みを可視化する

産後はホルモンバランスの影響もあり、
メンタルが不安定になりがちです。

  • 母乳が出ない
  • 赤ちゃんが吸ってくれない
  • 思うように進まない

そんな中で、妻が落ち込むこともありました。

独学でギターやピアノを続けてきた私には、
上達は指数関数的に伸びるという成功体験がありました。

そこで、母乳育児もデータで記録することを提案しました。

記録内容

  • 日時
  • 授乳分数(左右)
  • 搾乳分数(左右)
  • ミルクの量
  • 実際に飲んだ量

搾乳量が少しずつ増えていく様子は、
大きな自信につながりました。


秤がなくても母乳量は測れる

ショッピングモールなどに設置されているベビースケール。
多くは5gや10g単位ですが、
場所によっては1g単位で測れるものがあります。

これを使えば、

  • 高額な秤を購入しなくても
  • レンタルしなくても

母乳量を把握できます。

「80gも出た!」
数字で見えると、育児が少し楽しくなりました。